疾患について
アトピー性皮膚炎

【病気の説明】
アトピー性皮膚炎
アトピー素因をもつ人がくりかえす慢性の湿疹です。
かゆみを伴い、湿疹はほぼ左右対称にできます。
アトピー素因とは、気管支ぜん息・アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎を本人または家族が持っている人、またIgE抗体(外から侵入してきた異物から体を防御する物質)をつくりやすい体質のことです。
乳児期は顔に、幼児期は首・肘・膝に、青年期になると顔・首・上胸・背部や体全体にというように、年齢によって湿疹のできる部位が変化していくのが特徴です。
【治療法】
ステロイドやプロトピックの付け薬、かゆみのつよいときは抗アレルギー剤内服をします。
【当院のおすすめ】
靴下の中がきれい、おむつの中がきれいな人が多く、その場合は皮疹部に包帯を巻いたりチュビファーストをはめることを勧めたり、無理ならば保湿剤を勧めます。かゆくて眠れない、仕事や勉強が手に付かない程度になるとステロイドやネオーラルの内服を行います。
水虫

【病気の説明】
白癬菌というカビで起こる皮膚病です。
てのひら、足の裏、特に指のまたなどに、水ぶくれができたり、表皮が薄くむけたり、割れたりします。
【治療法】
抗真菌外用薬を付けます。
【当院のおすすめ】
全部で4系統ある外用薬を順番に試してみて一番効き目の良いものを選びます。
どの外用でもかぶれる人がおり、その場合は内服療法を勧めます。
爪水虫

【病気の説明】
白癬菌というカビの仲間が爪の下部を壊して食べるために爪が白~黄色に濁って厚くなり、爪を削ると爪の裏側がボロボロになっており、ここを顕微鏡で白癬菌を証明することで診断します。
靴にあたって痛くなったり、歩きにくくなったりすることもあります。
【治療法】
抗真菌薬の付け薬や飲み薬を使います。
【当院のおすすめ】
爪の裏側に沢山水虫菌がいますので、爪を削ってから薬を付けるとよくしみこむために有効性が上がります。自分では削るときに痛いので病院で削ります。
ジベルばら色粃糠疹

【病気の説明】
子供から思春期に多く、胴や二の腕や太ももに1-2cmの赤みが左右対称に多発し、ふけのようなかさかさが付きます。1~2ヵ月くらいで治ることが多いです。
【治療法】
ステロイドの付け薬が有効で、痒みが強い場合は抗アレルギー剤の内服をします。
【当院のおすすめ】
ステロイド無効の場合にプロトピック軟膏が有効なことがあります。
にきび

【病気の説明】
毛穴が盛り上がったもので、皮脂などの分泌物がたまった「白ニキビ」、たまった皮脂を食べてにきび菌が増えるために化膿した「赤ニキビ」があります。
重症の赤ニキビはニキビ痕が残ってしまうこともあります。
【治療法】
毛穴の入り口をふさいでいる角質を溶かすディフェリン・ベピオ・エピデュオや抗菌薬の付け薬、抗菌薬やビタミンB・Cの飲み薬、圧出(皮脂を専用の器具で押し出す治療)などを行います。
【当院のおすすめ】
にきびに似ている脂漏性皮膚炎が混じっていることがあり、この場合はニゾラールが有効です。
保険適応の付け薬よりも、自由診療ですがサリチル酸マクロゴールというピーリング剤のほうが刺激が少ないので治療を続けられる人がいます。
ほくろ

【病気の説明】
黒く、平たいか盛り上がった、メラニン細胞という色素細胞の集まりからなる良性の腫瘍です。
【治療法】
平たいものは電気凝固やレーザー、盛り上がったものは切除を行います。
電気凝固やレーザーでは色が付いたり抜けたりすること、切除では引きつれが残ることがリスクです。
【当院のおすすめ】
拡大鏡の一種のダーモスコピーで検査して悪性でないことを確かめます。
高齢の方では実はほくろではなくて、切らなくても凍結療法で取れる脂漏性角化症(しみの盛り上がったもの)が多いです。
いぼ(ウイルス性)

【病気の説明】
皮膚にできる小型ドーム状に盛り上がったもので、ヒトパピローマウイルス感染によってできます。
【治療法】液体窒素を用いた冷凍凝固療法、スピール膏を貼る、VD軟膏を付ける、ヨクイニン(漢方)を飲むなどの中から、
それぞれの患者さんに最も適していると思われるものを選んで行われます。
これは、どの患者さんにとっても「これが一番効く」と言う治療法が無いからです。
どの治療法を用いても、多くの場合一回の治療で治すことは難しく、何回か繰り返してやっと治るのが普通です。
【当院のおすすめ】
拡大鏡のようなダーモスコピーという器械で治療前の診断・治ったかどうかの診断が簡単に出来ますから、逐一確認します。
水いぼ

【病気の説明】
みずいぼウイルスが皮フに感染して小さな水ほう様の盛り上がりを作るものです。
つぶすと白い小さなウイルスの固まりが出てきます。
【治療法】
麻酔テープを貼ってからつまんで取る「水いぼ取り」をすることが多いです。
【当院のおすすめ】
接触でうつりますのでプールに通っている場合などは「水いぼ取り」が早いですが、痛みに弱い人は飲み薬(ヨクイニン)や外用薬(イソジン)を使います。
痛くもかゆくもない場合は半年から4年で免疫が付くための自然治癒を待ってもいいです。
帯状疱疹

【病気の説明】
子どもの頃に水ぼうそう(水痘)にかかった時から長い間身体の中の神経節に潜り込んでいた水痘ウイルスが、加齢により再び活動を始めたもので、神経の通っている部分に、それも身体の左右どちらかに帯のように現れます。
はじめはピリピリチクチクした痛みから始まり、しばらくするとその部分が赤くなり、やがて水ぶくれになって神経痛のような激しい痛みを伴います。
【治療法】
原因療法として抗ウイルス剤、対症療法として消炎鎮痛剤が処方されます。
抗ウイルス剤は、ウイルスの増殖を阻止して治癒を早めます。
神経がまだ破壊されていない初期の段階で使用すれば、帯状疱疹後神経痛の予防が期待できます。
【当院のおすすめ】
帯状疱疹はお年寄りに多く、お年寄りは腎臓の機能が若い時より落ちていることが多いのに、抗ウイルス剤は腎臓からおしっこに排出される薬だけだったので飲む量を調節するのが難しかったのです。
2017年に発売されたアメナリーフは便から排泄されるために年齢に関係なく通常量を処方すればよいため薬の量が多すぎて副作用が出たり少なすぎて効かなかったりすることがなくなりました。
普通の痛み止め(非ステロイド性消炎鎮痛薬やアセトアミノフェン)が効かない場合すぐに十分量のリリカを飲み始めると早く楽になることが多いです。
掌蹠膿疱症

【病気の説明】
手のひら(手掌)、足の裏(足蹠)にうみを持った小さな水ぶくれ(膿疱)が次々とできる慢性の皮膚疾患です。
ひどくなると、手のひらや足の裏全体の皮膚が赤みを帯び厚くなり、うす皮がむけひび割れし、痛みを伴います。
ただ、この膿疱は一種のアレルギー反応によって白血球が集まったと考えられ、細菌は無く、体の他の部位や他人にうつったりすることはありません。【治療法】主にステロイドの塗り薬を付けることが多いです。
治りにくい例では、PUVA、ナローバンドUVBなどの光線療法やビオチン(ビタミンH)などの飲み薬を、症状に合わせ、組み合わせて治療します。
【当院のおすすめ】
扁桃腺が腫れやすいとか虫歯・歯周病がある場合は歯科や耳鼻科に紹介して治療してもらうと皮膚も良くなることが多く、扁桃腺手術などが難しい場合は皮膚科で抗生物質の飲み薬を続けると効くことがあります。
また喫煙(約8割が喫煙者)の関与も指摘されており、禁煙が効果のある場合もあります。
陥入爪

【病気の説明】
爪の角がゆびに刺さりばい菌が入って腫れ、ますます食い込みがひどくなりばい菌が入るという悪循環が起こります。
症状が進むと爪の横に赤い盛り上がりが見られます。
手の爪と違って足の爪の周りの皮膚は地面から上に押されるために爪に向かってきているので、手と同じつもりで足の爪を丸く切り、深爪をして爪の「とげ」が出来ると皮膚に刺さることが原因のひとつです。
【治療】
食い込んでいる爪を持ち上げたり、爪のとげから皮膚を離すためにテーピングをします。
【当院のおすすめ】
爪のそばにある角質のごみを取ったりテーピングだけで痛くなくなる人から、抗生剤内服・弾性ワイヤーなど多種多様な方法を試みます。
円形脱毛症

【病気の説明】
円形に毛が抜け落ちてしまう病気です。
数か月程度で自然に毛が生えてくることも多いですが、重症の場合には広い範囲に円形脱毛が生じ、頭部全体の髪が抜け落ちてしまうこともあります。
脱毛部では毛を作る細胞が自分のリンパ球の攻撃を受けて壊される自己免疫病だと考えられています。
ステロイドなどの薬でリンパ球の攻撃が抑えられれば元通りの毛が生えてきます。
【治療】
始まったばかりで小範囲しか脱毛していない場合は、ステロイドや塩化カルプロニウムなどの外用療法やグリチルリチン、セファランチンの内服療法で様子をみます。
急速に拡大する場合はステロイドを内服すると難治の場合もかなり効くことがありますが、数ヶ月以上も続けると体重増加などいろいろな副作用が起きます。
【当院のおすすめ】
今にも頭髪がなくなりそうな人は体重増加などある程度の副作用覚悟でステロイド内服が有効なことが多いです。
少数の十円はげには副作用が少ないステロイドの付け薬や、セファランチン・グリチロンなどの飲み薬、凍結療法を行います。
蕁麻疹

【病気の説明】
赤や白のかゆい膨らみで、一つ一つの膨らみは数時間以内に消えます。
【治療】
抗アレルギー薬が用いられます。
【当院のおすすめ】
ふつうは市販もされている抗アレルギー薬の飲み薬が効きますが、効かないときは、ステロイドや抗ロイコトリエン薬・H2拮抗薬・グリチロン・トランサミンなど皮膚科学会ガイドラインにたくさん載っている「補助的治療薬」のどれかが効くことが多いです。
原因は不明なことが多いため長く飲み続ける必要があります。
おむつ皮膚炎

【病気の説明】
二つに分けられ、①便や、便と尿が混じったものに対する刺激性皮フ炎と、②おむつとこすれたために悪くなった乳児湿疹(アトピー性皮フ炎)があります。
①は肛門・外陰部・ふとももの付け根などの皺の部分に便がたまって起こり、びらん(べろんと赤く皮がめくれた状態)になって痛いことが多いです。
②は、オムツとこすれる部分であるしりべたに多く、皺は逆にオムツとこすれないので皮疹が少なく、痒いことが多いです。
【治療法】
ステロイド外用を行います。便や尿の皮フへの付着を減らすために、こまめにおむつを交換することも大切です。
【当院のおすすめ】
ステロイドに撥水性のある亜鉛華軟膏と、カンジダ防止の抗真菌の付け薬を混ぜると有効性が増します。
余り多くありませんが、重傷で消化液によるやけどに近い場合はとこずれ用保護剤を散布すると効きます。
脂漏性皮膚炎

【病気の説明】
あたま、顔、耳、脇の下、胸や背骨、へそなどの皮脂の分泌が多い場所に、ふけのようなカサカサとかゆみのある紅斑を認めるものです。ふけ症は頭の軽症の脂漏性皮膚炎に当たります。
【治療】
ステロイド外用剤が有効です。癜風菌という皮膚常在のかびが増えていると言われ、抗かび外用剤のニゾラールも効きます。
【当院のおすすめ】
ステロイドとニゾラールを混ぜて外用すると相乗効果があります。
無効ならビタミンB製剤、急性悪化時はステロイド内服を併用すると有効です。
異汗性皮膚炎

【病気の説明】手のひら・足の裏にかゆい小さな水ぶくれが繰り返すものです。
【治療】
ステロイド外用を使います。全身型金属アレルギーが原因となることがあり、金属制限食などで軽快することがあります。
【当院のおすすめ】
ステロイドの付けぐすりが有効ですが、手のひら・足の裏はバリアが厚いので最強ランクでないと効かないことが多いです。
また、悪化時にステロイドの飲み薬が必要なことが多いです。
乾癬

【病気の説明】
銀白色のふけ状のカサカサが付く赤い平たい盛り上がりです。
外的刺激を受けやすい肘や膝の伸びるところやすね、頭に多いです。
【治療】
ステロイドや活性ビタミンD3の付け薬、チガソンやネオーラル、オテズラなどの飲み薬、紫外線療法、生物学的製剤などを使用します。
軽症では付け薬だけ、中等症および重症では、付け薬にその他の方法を組み合わせることが多いです。
【当院のおすすめ】
ステロイドとビタミンDの混合の付け薬はべたべたの軟膏だけでしたが、ドボベットゲルという油っぽい液体の薬が出ました。これもべたべたですが、軟膏よりは伸びが良く付けるのが楽になるかもしれません。
北海道北広島市大曲末広1丁目2-1大曲皮フ科